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時津風親方を事情聴取、県警と食い違い

北の湖理事長からの事情聴取を終え神妙な面持ちで引き揚げる時津風親方  大相撲時津風部屋の序ノ口力士、時太山(当時17=本名・斉藤俊さん)が急死した問題で、日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)は1日、東京・両国国技館で時津風親方(57=小結双津竜)への事情聴取を行った。同親方は「ビール瓶」と「金属バット」による殴打は認めたが、愛知県警の調べによる関係者証言とは食い違いを見せた。「けいこ中の事故」との見解を崩さず、けいこの行き過ぎや暴行についての反省の弁もなかった。一方、北の湖理事長(元横綱)は、一両日中に臨時理事会を開いて時津風親方を解雇する方針を固めた。

 北の湖理事長による事情聴取は、両国国技館内の理事長室で午後3時15分から約1時間45分に及んだ。8月下旬から愛知県警に捜査協力している武蔵川事業部長(元横綱三重ノ海)と伊勢ノ海理事(元関脇藤ノ川)、協会の今野勝彦顧問弁護士も同席。そこで時津風親方は6月下旬に伊勢ノ海理事に話した「通常のぶつかりげいこで死んだ」との証言を一部だけ修正したという。聴取終了後、会見に臨んだ北の湖理事長が内容を明かした。

 北の湖理事長 時津風さんは、時太山が亡くなった前の日にビール瓶でひざを小突いて頭をたたいた。ぶつかりげいこは30分。途中、1人の弟子が金属バットを持ち出し、1回尻をたたいたので、『やめとけ』と言ったそうです。

 「ビール瓶」と「金属バット」での殴打は認めた。しかし、証言は複数の部分で愛知県警の調べによる関係者証言と食い違っていた。現段階ではまだ真実は明らかになっていない。ただ<1>ぶつかりげいこは1時間以上続いた<2>ビール瓶で体を数回殴り、最後に額を強く殴った<3>金属バットは兄弟子が死亡前日25日にも使い暴行を加えた…などの関係者証言と比べると、親方の証言は明らかに過少申告といえた。

 事情聴取で時津風親方は最後まで辞職の意思を示すことはなかったという。ビール瓶で殴ったことを認めたものの「事故はけいこ中に起きた」という主張は変えなかった。体力のない新弟子に30分間ものぶつかりをさせるなどしたことへの反省の弁もなかったという。「本人はけいこで起こしたと思っている」と理事長も認めた。体力のない新弟子に30分間もぶつかりをさせるなどしたことへの反省の弁もなかったという。関係者によると、この期に及んでも師匠の座に執着しているという。聴取終了後、時津風親方は「問題の説明を」という報道陣の質問を無視して、タクシーに乗車。部屋の前に着くと、カメラの群れを両手でかき分け、勝手口から部屋の中に入った。

 問題発生当初、時津風親方の「病死」という言い分をうのみにしていた協会側も、この日は態度を一転させた。北の湖理事長は「けいこと言えども、力士が亡くなったことが重大。新弟子に30分ものぶつかりは行き過ぎ。処分については厳しくやらないとと思っている」と、一両日中に臨時理事会を開き、時津風親方を解雇する意向を示唆した。

 今回の問題は、朝青龍問題以上に角界のイメージを失墜させた。今後、時太山の遺族の元に協会幹部が謝罪に出向く意向も明らかにしたが、世論には理事長自身の責任を問う声も少なくない。しかし、北の湖理事長は「責任は一番、師匠が取るべきと思います」と話し、あくまで時津風親方個人の責任を強調した。

日刊スポーツ - 2007年10月2日

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